業種別指標

「純利益」業界目安の完全版~最後に笑うのは売上1位のトヨタか?ダークホースか?

こんにちは!レイです!

前回の「営業利益」業界目安の完全版では営業利益で業界と企業の規模を見てきましたが

今回は第十弾として純利益で各業種のグラフを作り、規模が分かるようにしました。

売上高合計が高い業種・企業から並べてあるので、業界規模が大きかったら企業の純利益も上がるのか?売上が業界トップじゃなくても純利益でトップに勝てるのか?が確認できます。

純利益とは

純利益とは経常利益に臨時で発生した損益である「特別利益」「特別損失」を足し引きし、税金を引いて最終的に手元に残った利益です。

以下に特別利益・特別損失の例を記載します

特別利益

  • 不動産の売却益
  • 株式・証券の売却益(長期保有のみ)

特別損失

  • 不動産の売却損
  • 株式・証券の売却損
  • 火災・自然災害・盗難
  • 休業による損失、リストラ費用
  • 減損損失
  • 情報漏えい対応
  • 損害賠償対応

コロナウイルスの損害を特別損失に入れている企業もあり、同じ費用でも特別損失になる場合とならない場合があります。

純利益は「税引後利益」「最終利益」「当期純利益」とも呼ばれます。

純利益は配当金や企業の貯金(内部留保)に使われるので、すでに株を持っている株主が一番注目する指標です。

一方で株価は、企業の収益力をあらわす経常利益に影響されやすいです。

純利益の目安

IRバンク 2020年純利益統計を参考に金融庁の情報開示システム「EDINET」に提出された2020年の売上高合計値を証券取引所で定められている全業種についてランキングにしました。
※金融業は決算項目が特殊であるため除外 

金融業を除いた純利益ランキングのトップは電気機器の2兆8158億円です。

このランキング上では決算項目が異なる金融業は除かれていますが、金融業にも純利益の項目はあり、金融を入れた全業種のトップは銀行業の4.6兆円です。

電気機器は営業利益ランキングでもトップでした。

営業利益と純利益のランキングは大きく動かないようです。

売上高ランキングの1位と最下位は110兆円、営業利益ランキングの1位と最下位は6.3兆円でしたが、純利益の1位2.8兆円と最下位の-0.6兆円の差は3.4兆円です。

業種別の純利益額比較

先ほどのランキングに掲載した全29業界について上場企業の売上高1~3位の企業をグラフにしました。
※2020年10月~2021年9月に開示された有価証券報告書を参照

計算はバフェットコードEXCEL財務分析ツールを使っています。

棒が濃いオレンジのグラフは純利益トップの額が大きく、メモリの最大値が大きいグラフです。

業界は合計売上高の高い順で紹介していきます。

売上高ランキングはこちら>>>市場が大きかったら企業売上も大きくなる?~「売上高」業界目安の完全版

下段の業種・企業の営業利益が大きい場合は、売上の大きい業種・企業より純利益額が大きい企業です。

売上と純利益の逆転劇があるのかを確認してみてください。

レイ
レイ
太字の説明がない業界は会社名と数値のみ書いてあるので読み飛ばしても大丈夫です

卸売業(商社)

三菱商事は1726億円、伊藤忠商事は4014億円、三井物産は3355億円です。

卸売業(商社以外)

メディパルホールディングスは239億円、アルフレッサホールディングスは245億円、三菱食品は111億円です。

売上は三菱商事がメディパルホールディングスの約4倍でしたが、純利益では三菱商事がメディパルホールディングスの7.2倍です。

輸送用機器

トヨタ自動車は2.2兆円、本田技研工業は6574億円、日産自動車は-4487億円です。

トヨタの純利益2.2兆円は日本企業で2位です。

1位は投資で7.5兆円を稼いだソフトバンクになりました。

電気機器

日立製作所は5016億円、パナソニックは1651億円、三菱電機は1931億円です。

営業利益ではパナソニックが三菱電機より大きかったですが、三菱電機は営業外収益が大きく、純利益では逆転しています。

小売業

イオンは-710億円、セブン&アイ・ホールディングスは1793億円、ファーストリテイリングは904億円です。

情報・通信業

日本電信電話は9162億円、ソフトバンクグループは5兆円、KDDIは6515億円です。

純利益は売上1位のトヨタを抜いてソフトバンクがトップに立ちました。

ソフトバンクは2020年は本業の事業より他社への投資額で稼いだ額が大きく、投資で営業外収益を7.5兆円稼いでいます。

ソフトバンクの営業外利益についてはこちらの情報・通信業の章を参照してください。
>>>その企業、経済力ある?~「経常利益率」業界比較の完全版

サービス業

日本郵政は9142億円、リクルートホールディングスは1314億円、博報堂DYホールディングスは265億円です。

化学

三菱ケミカルホールディングスは-76億円、富士フイルムホールディングスは1812億円、住友化学は460億円です。

建設業

大和ハウス工業は1951億円、積水ハウスは1235億円、大林組は988億円です。

電気・ガス業

東京電力ホールディングスは1809億円、関西電力は1090億円、中部電力は1472億円です。

機械

三菱重工業は406億円、ダイキン工業は1562億円、小松製作所は1062億円です。

食料品

日本たばこ産業は3103億円、アサヒグループホールディングスは928億円、キリンホールディングスは719億円です。

陸運業

日本通運は561億円、東日本旅客鉄道は-5779億円、東海旅客鉄道は-2016億円です。

石油・石炭製品

ENEOSホールディングスは1140億円、出光興産は349億円、コスモエネルギーホールディングスは859億円です。

鉄鋼

日本製鉄は-324億円、JFEホールディングスは-219億円、神戸製鋼所は232億円です。

不動産業

三井不動産は1296億円、飯田グループホールディングスは833億円、三菱地所は1357億円です。

医薬品

武田薬品工業は3760億円、大塚ホールディングスは1481億円、アステラス製薬は1206億円です。

武田薬品は2020年に「アリナミン」や「ベンザ」などの有名ブランドを手がける武田コンシューマーヘルスケアを売却し、

特別利益を本業で稼いだ営業利益に上乗せしています。

その他製品

任天堂は4804億円、凸版印刷は820億円、大日本印刷は251億円です。

非鉄金属

住友電気工業は563億円、三菱マテリアルは244億円、古河電気工業は100億円です。

倉庫・運輸関連

近鉄エクスプレスは216億円、上組は179億円、三井倉庫ホールディングスは115億円です。

ガラス・土石製品

AGCは327億円、太平洋セメントは468億円、TOTOは272億円です。

金属製品

LIXILは330億円、東洋製罐グループホールディングスは159億円、日本発條は94億円です。

繊維製品

東レは458億円、帝人は-67億円、東洋紡は42億円です。

精密機器

オリンパスは129億円、テルモは773億円、ニコンは-345億円です。

パルプ・紙

王子ホールディングスは496億円、日本製紙は32億円、レンゴーは286億円です。

海運業

日本郵船は1392億円、商船三井は901億円、川崎汽船は1087億円です。

空運業

ANAホールディングスは-4046億円、日本航空は-2867億円、パスコは33億円です。

ゴム製品

ブリヂストンは-233億円、住友ゴム工業は226億円、横浜ゴムは263億円です。

水産・農林業

マルハニチロは58億円、日本水産は145億円、極洋は38億円です。

鉱業

INPEXは-1117億円、石油資源開発は-27億円、日鉄鉱業は37億円です。

まとめ

  • 純利益とは税金などを引いて最終的に残るお金
  • 営業利益と純利益の業界ランキングに大きな変動はない
  • 日本企業の純利益ランキングは、投資で7.5兆円を稼いだソフトバンクが売上高1位のトヨタを抜いて1位

最後までお読みいただきありがとうございました!

参考URL:
IRバンク 純利益の統計情報
武田、純利益3760億円 大衆薬子会社売却―21年3月期
アリナミンや本社を売却した武田薬品に何が起こっているのか

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