業種別指標

「売上高」業界目安の完全版~売上トップは業界の顔!?

こんにちは!レイです!

「業界目安の完全版」シリーズで各業種の売上高トップ3の利益率や自己資本率などをみてきましたが、企業の売上の規模が分からなかったので、今回は第八弾として売上高で各業種のグラフを作り、規模が分かるようにしました。

売上高合計が高い業種から並べてあるので、業界規模が大きかったら企業の売上も上がるのか確認できます。

売上高とは

売上高(売上)とは、企業が商品やサービスを提供して得たお金の総額です。

売上高が高いと企業が世の中に多くの価値を提供したことになります。

提供している商品が形のないサービスの時は、売上高を営業収益と呼ぶこともあります。

売上高は売れた金額を示しますが、利益は売上から材料などの費用を引いた金額です。

会社が儲かっているか調べるために利益は重要な指標ですが

金融機関の融資では売上規模も判断基準になることがあり、売上高は重要な指標です。

売上高の目安

IRバンクの業種別売上規模マップを参考に金融庁の情報開示システム「EDINET」に提出された2020年の売上高合計値を証券取引所で定められている全業種についてランキングにしました。
※金融業は決算項目が特殊であるため除外 

売上高ランキングのトップは卸売業の111兆3361億円です。

不動産は営業利益率ランキングで1位でしたが売上高ランキングでは15位です。

1社の売上規模を考える場合、社数にも注目です。

先ほどの売上高ランキングで社数を比べると輸送用機器(自動車など)は売上規模に比べて社数が少ないことが分かります。

規模に比べて競合が少ないため、トヨタ・本田は2020年度の日本企業の売上高で1位・2位になっています。

業種別の売上高比較

先ほどのランキングに掲載した全29業界について上場企業の売上高1~3位の企業を上から順にグラフにしました。
※2020年10月~2021年9月に開示された有価証券報告書を参照

計算はバフェットコードEXCEL財務分析ツールを使っています。

グラフは色だけでも大体の大きさが判断できるようになっていて、青が1兆円以下、薄いオレンジが1兆円~10兆円、濃いオレンジが10兆円以上です。

業界は合計売上高の高い順で紹介していきます。

卸売業(商社)

三菱商事は12.9兆円、伊藤忠商事は10.4兆円、三井物産は8兆円です。

商社以外の卸売業の1位メディパルホールディングスが3兆円台なので、三菱商事はその4倍近い売上を上げており商社の規模がいかに大きいか分かります。

卸売業(商社以外)

メディパルホールディングスは3.2兆円、アルフレッサホールディングスは2.6兆円、三菱食品は2.6兆円です。

輸送用機器

トヨタ自動車は27.2兆円、本田技研工業は13.2兆円、日産自動車は7.9兆円です。

トヨタ・本田は日本企業の売上高1位・2位です。
前章でも触れましたが、輸送用機器の売上高ランキングが2位であるのに対し、社数が少なく、小規模業者の参入も難しいため1社の売上が高くなる業界構造になっています。

電気機器

日立製作所は8.7兆円、パナソニックは6.7兆円、三菱電機は4.2兆円です。

小売業

イオンは8.6兆円、セブン&アイ・ホールディングスは5.8兆円、ファーストリテイリングは2兆円です。

レイ
レイ
イオンがファーストリテイリング(ユニクロ)の4倍稼ぐというイメージはあまりありませんでした。

イオンは金融業も手がけていますが売上の7割をスーパー事業で上げており、金融の売上は5.5%です。

イオンが取り扱っている商品の範囲がいかに広いかが分かります。

情報・通信業

日本電信電話は11.9兆円、ソフトバンクグループは5.6兆円、KDDIは5.3兆円です。

ソフトバンクは売上高に追加で投資の利益が6兆円あるので、グラフで見る以上に収益を上げていますが、モバイルなどの本業では日本電信電話(NTT)が一強であるのが分かります。

モバイル事業は生活の必需品になっており、政府の認可が必要なことや電波の基地局の設立など参入障壁が高いため、1社あたりの売上が大きくなります。

サービス業

日本郵政は11.7兆円、リクルートホールディングスは2.3兆円、博報堂DYホールディングスは1.3兆円です。

広告業界の実質のトップは電通ですが、電通は国際会計基準を使用しているために売上の計算方法が異なり、データ上は博報堂の方が売上が高くなります。

化学

三菱ケミカルホールディングスは3.3兆円、富士フイルムホールディングスは2.2兆円、住友化学は2.3兆円です。

建設業

大和ハウス工業は4.1兆円、積水ハウスは2.4兆円、大林組は1.8兆円です。

電気・ガス業

東京電力ホールディングスは5.9兆円、関西電力は3.1兆円、中部電力は2.9兆円です。

関西電力と東京電力で2倍弱の差がついていることは意外でしたが

実は関西の2府4県(2100万人)より関東の1都6県(4300万人)の人口の方が約2倍多く、売上高は人口と比例しています。

中部電力の対象エリアは東海・甲信越地方と広く、関西の人口とほぼ同じ(2000万人)です。

機械

三菱重工業は3.7兆円、ダイキン工業は2.5兆円、小松製作所は2.2兆円です。

食料品

日本たばこ産業は2.1兆円、アサヒグループホールディングスは2兆円、キリンホールディングスは1.8兆円です。

アサヒとキリンは熾烈な戦いを続けており、2020年はビール市場シェアでキリンがアサヒを11年ぶりに抜いて首位になりました。

陸運業

日本通運は2.1兆円、東日本旅客鉄道は1.8兆円、東海旅客鉄道は8235億円です。

石油・石炭製品

ENEOSホールディングスは7.7兆円、出光興産は4.6兆円、コスモエネルギーホールディングスは2.2兆円です。

石油・石炭製品は11社しかなく、1社当たりの売上が大きくなります。

鉄鋼

日本製鉄は4.8兆円、JFEホールディングスは3.2兆円、神戸製鋼所は1.7兆円です。

不動産業

三井不動産は2兆円、飯田グループホールディングスは1.5兆円、三菱地所は1.2兆円です。

医薬品

武田薬品工業は3.2兆円、大塚ホールディングスは1.4兆円、アステラス製薬は1.2兆円です。

武田薬品は2017年度の売上は1.8兆円ですが、2019年にシャイアーを買収したことで2020年度の売上高が3.2兆円に跳ね上がり世界トップ10入りをはたしました。

その他製品

凸版印刷は1.5兆円、大日本印刷は1.3兆円、任天堂は1.8兆円です。

非鉄金属

住友電気工業は2.9兆円、三菱マテリアルは1.5兆円、古河電気工業は8116億円です。

倉庫・運輸関連

近鉄エクスプレスは6091億円、上組は2683億円、三井倉庫ホールディングスは2536億円です。
※東日本高速道路(1.3兆円)・西日本高速道路(1.9兆円)・中日本高速道路(1.3兆円)が非上場のため、近鉄エクスプレス・上組・三井倉庫の売上が低く見えます。

ガラス・土石製品

AGCは1.4兆円、太平洋セメントは8639億円、TOTOは5809億円です。

金属製品

LIXILは1.4兆円、東洋製罐グループホールディングスは7487億円、日本発條は5726億円です。

繊維製品

東レは1.9兆円、帝人は8365億円、東洋紡は3374億円です。

精密機器

オリンパスは7305億円、テルモは6138億円、ニコンは4512億円です。

パルプ・紙

王子ホールディングスは1.4兆円、日本製紙は1兆円、レンゴーは6807億円です。

パルプ・紙業界の上場企業は26社ですが、王子ホールディングス・日本製紙だけで業界売上高の60%を占めています。

海運業

日本郵船は1.6兆円、商船三井は9914億円、川崎汽船は6255億円です。

海運業界の上場企業は13社ですが、日本郵船・商船三井だけで業界売上高の60%を占めています。

空運業

ANAホールディングスは7287億円、日本航空は4812億円、パスコは550億円です。

ゴム製品

ブリヂストンは3兆円、住友ゴム工業は7908億円、横浜ゴムは5706億円です。

ブリヂストンは業界2位の住友ゴム工業の売上の3.7倍以上です。

水産・農林業

マルハニチロは8626億円、日本水産は6565億円、極洋は6565億円です。

鉱業

INPEXは7710億円、石油資源開発は2401億円、日鉄鉱業は1192億円です。

まとめ

  • 売上高とは、企業が商品やサービスを提供して得たお金の総額
  • 薄利多売の業種は業界全体の売上高が大きくなる
  • 業界規模が大きいと業界大手の売上も高くなるが、競合が少ないと1社あたりの売上が大きくなる

最後までお読みいただきありがとうございました!

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