こんにちは!レイです!
28回目の「業界目安の完全版」は一人当たり売上高です。
29業種の大手企業をグラフで比較しているので、業種や企業によってどのくらいの差があるのか一目で分かります。
一人当たり売上高とは
一人当たり売上高とは、従業員一人がいくら売上を生み出しているかを表す効率性分析の指標です。
人当たり売上高=売上 / 従業員数(人)
従業員数には一般的にパート・アルバイト・派遣社員は含まれないため、実際の一人当たり売上とはずれが発生します。
一人当たり売上高は地域・業種によって差があり、フランチャイズ経営だと店員が従業員数にカウントされないため一人当たり売上高が高くなります。
一人当たり売上高はしばしば徐々に下がっていく場合があり、長期の時系列分析が必要です。
一人当たり売上高の目安と比較
一人当たり売上高が多いほど生産性が高く、売上高を上げるか従業員数を減らすことで改善されます。
また、管理部門の人数を減らして営業部門の人手を増やすと、従業員数が変わらなくても一人当たり売上高が高くなる場合があります。
一般的に卸売業や資本集約型の事業は一人当たり売上高が高く、飲食店など労働集約型は一人当たり売上高が低くなる傾向があります。
参考:「減価償却費率」業界目安の完全版~労働集約か、資本集約か。
東洋経済の「1人当たり売上高」トップ500社ランキングによると、1人当たり1億円の売り上げを稼ぐ上場企業は442社です。
以下では証券取引所の金融を除く29業種について、売上高1~3位の企業の一人当たり売上高をグラフにしています。
※2020年10月~2021年9月に開示された有価証券報告書を参照
業界はザイマニで上場企業の一人当たり売上高2020年中央値が大きい順番で並べています。
計算はバフェットコードとEXCEL財務分析ツールを使っています。
鉱業
INPEXは24.4千万円、石油資源開発は13.5千万円、日鉄鉱業は6.1千万円です。
不動産業
三井不動産は8.4千万円、飯田グループホールディングスは14.4千万円、三菱地所は12.1千万円です。
東洋経済が2017年に発表した「1人当たり売上高」トップ500社ランキングによると、上場企業の1位はテナントビル・マンションの仕入れ販売を手掛ける不動産企業の「アルデプロ」で、一人当たり売上高は144千万円です。
アルデプロは古い建物・商業施設を取り壊し、再構築を行ってデベロッパーに売却しています。
不動産売却は不動産賃貸より売上高が高くなるため、売却中心のアルデプロは一人当たり売上高が高くなります。
卸売業(商社)
三菱商事は15.5千万円、伊藤忠商事は8.2千万円、三井物産は18千万円です。
卸売業(商社以外)
メディパルホールディングスは24.8千万円、アルフレッサホールディングスは21.6千万円、三菱食品は51.6千万円です。
東洋経済の「1人当たり売上高」トップ500社ランキングでは、上位に卸売業が多数ランクインしています。
三菱食品は11位に入っており、一人当たり5億円は本記事の登場企業の中でトップです。
食品卸最大手の三菱食品は、2011年に菱食・明治屋商事・サンエス・フードサービスネットワークなどが統合して誕生しました。
食品卸はドラッグストア・スーパーなど主要な買い手が巨大化しているため、広範なネットワークと規模を維持しないと顧客に高品質・低価格の商品を提供することが難しくなりました。
三菱食品のメイン顧客は売上の27%を占めるローソンです。
ドラッグストアやコンビニは品ぞろえが多くなっているので、日用雑貨など他業種のメーカーを取り扱うことができれば取引先の満足度も高まります。
一方で駄菓子屋などの専門店が減少し、菓子専門卸などは事業が立ち行かなくなっています。
よって食品卸業界では大手が中小企業の買収を繰り返し、統合・合併が進んでいます。
海運業
日本郵船は4.6千万円、商船三井は11.6千万円、川崎汽船は10.3千万円です。
電気・ガス業
東京電力ホールディングスは15.5千万円、関西電力は9.7千万円、中部電力は10.4千万円です。
石油・石炭製品
ENEOSホールディングスは18.8千万円、出光興産は32.4千万円、コスモエネルギーホールディングスは31.5千万円です。
建設業
大和ハウス工業は8.5千万円、積水ハウスは8.6千万円、大林組は11.6千万円です。
小売業
イオンは5.5千万円、セブン&アイ・ホールディングスは9.8千万円、ファーストリテイリングは3.5千万円です。
食料品
日本たばこ産業は3.6千万円、アサヒグループホールディングスは6.8千万円、キリンホールディングスは5.9千万円です。
鉄鋼
日本製鉄は4.5千万円、JFEホールディングスは5千万円、神戸製鋼所は4.2千万円です。
水産・農林業
マルハニチロは6.6千万円、日本水産は7千万円、極洋は10.8千万円です。
化学
三菱ケミカルホールディングスは4.7千万円、富士フイルムホールディングスは3千万円、住友化学は6.6千万円です。
空運業
ANAホールディングスは1.6千万円、日本航空は1.3千万円、パスコは2千万円です。
空運業はコロナの打撃を受けたため2020年度の生産性は低いですが、ANAの2019年度の一人当たり売上高は4.3千万円、2018年度は4.8千万円です。
日本航空は2019年度3.9千万円、2020年度4.4千万円です。
非鉄金属
住友電気工業は1千万円、三菱マテリアルは5.5千万円、古河電気工業は1.7千万円です。
パルプ・紙
王子ホールディングスは3.8千万円、日本製紙は6.2千万円、レンゴーは3.5千万円です。
倉庫・運輸関連
近鉄エクスプレスは3.7千万円、上組は6.2千万円、三井倉庫ホールディングスは3千万円です。
医薬品
武田薬品工業は6.8千万円、大塚ホールディングスは4.3千万円、アステラス製薬は8.1千万円です。
ガラス・土石製品
AGCは2.5千万円、太平洋セメントは6.9千万円、TOTOは1.7千万円です。
金属製品
LIXILは2.7千万円、東洋製罐グループホールディングスは3.8千万円、日本発條は3.1千万円です。
繊維製品
東レは4.1千万円、帝人は4千万円、東洋紡は3.3千万円です。
輸送用機器
トヨタ自動車は7.4千万円、本田技研工業は6.2千万円、日産自動車は6千万円です。
機械
三菱重工業は4.6千万円、ダイキン工業は2.9千万円、小松製作所は3.6千万円です。
その他製品
任天堂は26.8千万円、凸版印刷は2.8千万円、大日本印刷は3.6千万円です。
電気機器
日立製作所は2.5千万円、パナソニックは2.8千万円、三菱電機は2.9千万円です。
陸運業
日本通運は2.9千万円、東日本旅客鉄道は2.5千万円、東海旅客鉄道は2.7千万円です。
鉄道業は2020年度はコロナの影響で生産性が低くなっていますが、東日本旅客鉄道の2019年度一人当たり売上高は4.1千万円、2018年度は4.1千万円です。
東海旅客鉄道の2019年度一人当たり売上高は6.2千万円、2018年度は6.4千万円です。
精密機器
オリンパスは2.3千万円、テルモは2.3千万円、ニコンは2.3千万円です。
情報・通信業
日本電信電話は3.7千万円、ソフトバンクグループは9.6千万円、KDDIは11.2千万円です。
サービス業
日本郵政は4.8千万円、リクルートホールディングスは4.8千万円、博報堂DYホールディングスは5.2千万円です。
ゴム製品
ブリヂストンは2.2千万円、住友ゴム工業は2千万円、横浜ゴムは2.1千万円です。
まとめ
- 一人当たり売上高=売上 / 従業員数(人)
- 一人当たり売上高が多いほど生産性が高く、売上高を上げるか従業員数を減らすことで改善される
- 卸売業は一人当たりの売上が高く、三菱食品は1人当たり5億円を売り上げる。
最後までお読みいただきありがとうございました!
参考URL:東洋経済 「1人当たり売上高」トップ500社ランキング